ゼロウェイストという言葉をよく耳にするようになりました。
言葉通り、ごみを捨てない暮らしと言う意味です。
とはいえ私たちは生きている限り、それは不可能に近いように思われます。
正直言って私も、まだまだ実践できているとは言い切れません。
それでもそこで諦めたら、結局地球はますますごみに埋もれていくし、今や深刻なマイクロプラスチック問題も悪化の途を辿ります。
今回は、世界で実際に限りなくゼロウェイストを実践している人たちのストーリーを見ながら、自分でできることを考えてみませんか。
✓ゼロ・ウェイスト・ホームの本について
✓ゼロウェイスト基本の考え方
✓ゼロウェイストの実践方法
「ゼロウェイスト」とは
ゼロウェイスト(ZERO WASTE)とはごみゼロ、つまりごみや廃棄物を出さない社会を目指すことや、私たち個人でできるそのための行動のこと。
今深刻になっているマイクロプラスチック問題も、フードロス問題も、突き詰めればこのゼロウェイストに繋がります。
つまり、ごみを出さない暮らしを心掛けることが、どちらの問題の解決策にも繋がるのです。
「ゼロ・ウェイスト・ホーム」
ゼロウェイストの概念を世に広めたのは、「ゼロ・ウェイスト・ホーム」という一冊の本の影響力が大きいです。
著者はアメリカ人の旦那さんと二人の息子との4人で、カルフォルニアに暮らすフランス人のベア・ジョンソンさん。
4人家族にもかかわらず、ジョンソン一家の出すごみは、一年でたった一リットル!
でも例えば、今すぐ自分の家で出しているごみの量と比べて「やはりハードルが高い!」と諦める必要はありませんよ。
彼女は徹底的に取り組んだからこそ本まで出したわけで、最初からそこを目指す必要はないのです。
ちなみに本を読んでいると、ベアさんは「必至に」取り組んだというより、楽しんで行っている様子が伝わってきます。
「なにごとも楽しむ」その姿勢こそが無理なく続くコツ、なのかもしれません。
5Rを知ろう
「ゼロ・ウェイスト・ホーム」がより多くの人に読まれるほどに、彼女が提唱した5Rも世に知られ始めました。
知らない方のために、こちらでご紹介します。
2. Reduce:やがてごみになるような家庭にあるものを「減らす」
3. Reuse:すでにあるもの・買ったものは繰り返し使う
4. Recycle:1.2.3ができないものはリサイクルへ
5. Rot:可能なものはすべて堆肥化
1. Refuse:ゼロウェイストは外にいるあいだから
「ゼロ・ウェイスト・ホーム」からは学ぶことだらけですが、まず私たちが陥りがちな考え方として「ごみを出さない」がありますが、本によると「ごみになるものを入れない」ことにも重きが置かれています。
ひとつめのRと重ねて、今日からできる意識の持ち方や買い物の仕方、アクションをご紹介します。
個包装、ラッピングを断る
完璧な包装にこだわる日本の消費社会において、見直せることはたくさんあります(そして、それは希望!)。
マイバッグの持参は始まっていますが、次に気になるのは個別包装です。
個人としてできることは、まずそういった個包装のものではなく野菜などをできるだけ裸のまま買う、という選択です。
最近では量り売りのショップや農家さん直送の野菜そのまま購入できる市場(マーケット)なども増えてきましたが、それらの自然派ショップやファーマーズマーケットは、ハードルが高く感じる人も多くいるかもしれません。
マーケットなどは隔週、しかもちょっと辺鄙な場所にあることも多く、「意識的」にだけでなく「物理的」にもハードルを高めています。
理想は、いつか近所のスーパーに量り売りのコーナーが誕生すること!
ですが、それまではできる範囲で包装のないものを選び続けるしかありません。もし商店街があれば昔ながらの商店で購入するのも手ですよ。
サンプルやティッシュ、DMは断る
日本で特に多いのが、街頭での「もの配り」です。
最近のコロナ禍では一時期より減ったかもしれませんが、それでもよく配りものをされていますよね。
日常的にポケットテッシュを使っている人も、使う範囲内で受け取る。「せっかくだから」と過剰に受け取らないことが大切です。
さらに家のポストにまで届くDMやチラシの数々。
ポストから横にあるごみ箱に直行するこれらも、できるだけ受け取らない工夫を。
私はゼロウェイストを意識し始めてから、ポストに「DMお断り」のサインを貼りました。まったくゼロにはなりませんでしたが、少しは減っている実感があります(つまり効果あり!)。
2. Reduce:今とこれからの物を減らす
今すでに家にあるたくさんの「もの」、それらはこれからも本当に必要でしょうか。
その必要性を見極めて、不要になったものは潔く手放すこと。とはいえ、なんでもプラスチックのごみ袋にパンパンに詰め込んで収集車に持って行ってもらう、と言うのは本末転倒。
手放す際も、それぞれのものたちがより人や環境に優しい道を探りたいもの。誰かに譲ったり団体に寄付、リユースなどもありますね。
そして住居空間がスッキリするほどに、これから入れる「もの」については慎重になれるもの。特に考えずに買い足すなんていうことは、自然と減るはず!
最近、私は「身の丈に合った暮らし」というキーワードがヒット中。
例えば自分の生活範囲には自分で動かせるもの「のみ」、把握できるもの「のみ」を置くシンプルライフ。その心地よさを体験しています。
3. Reuse:使い切る工夫を!
リユースは繰り返し使うこと。使い切る工夫を惜しまず、そのものの寿命を最大限に伸ばすことです。リサイクルとの違いは、最初に作られた原型を留めたままで何度も使うかどうか。
また使い捨ての製品、例えばサランラップなども「使い捨てない」商品を選ぶことで、リユースの道を選ぶことができます。
海外で暮らしていた際、よく利用していたセカンドハンドショップ。
街によって商品の傾向があり、個性的な服を探していればアーティストタウン、ブランド物が欲しければ高級住宅街など、使い分けていましたよ!また、お店には外にボックスが置かれていて、不要なものを無料で引き取ってもくれることも。
4. Recycle:できれば最後の砦に
リサイクルの概念は一般的なものと、実際的なものはずいぶんとかけ離れている可能性があります。
リサイクルとは再生資源のこと。「リサイクルしてるから大丈夫」と未だ思っている方も多いかもしれませんね。
でも覚えていて欲しいことは、まず第一にリサイクルのために貴重なエネルギーを使うということ。
そして第二に、例えばプラスチックであれば「製造時」にも「使用時」にも「資源を再生する過程」においても、有害物質が出ているということ。
さらに日本ではプラスチックリサイクルの半分以上が、焼却する際に発生する熱エネルギーを利用した「サーマルリサイクル」なのが現状です。廃プラスチックの焼却時に発生する熱量は、石炭や石油の発熱量に匹敵するのだとか。
またリサイクルのためには細やかな分別が必要になり、自治体で対応が異なるので住んでいる地区の分別を調べておきましょう。
ゼロウェイストを目指したいのであれば、1~3を実践した上で考慮に入れたい選択肢です。
5. Rot:堆肥化への道
ロット=腐らせる、という意味。つまり腐敗させて、堆肥化(コンポスト)するということ。土の微生物たちの力を借りて、ごみを分解してくれる自然な循環システムです。
現代の私たちの暮らしは、お庭や大きなバルコニーがない場合が多いですが、最近ではバッグ式のコンポストも販売されています。また値段が高いことに躊躇している人には、コンポストを手作りすることも可能です。ブログやyoutubeなどで調べてみてください。
ゼロウェイストな暮らしを意識し始めると、どんどんできることが増えてきて楽しくなってきます。
でもあくまでできる範囲で。「ねばべき」では必ず自分がしんどくなってしまいます。でも楽しく続けていると、いつのまにか「できる範囲」が広がっていくはずです。
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