今、世界中の海のいたるところでプラスチックバッグや、ほとんど目に見えないサイズのマイクロプラスチックが無数に浮遊しています。そんな海を比喩して「プラスチックのスープ」と表現されることも。
すべての海はつながっているので、目の前の海がどれほどキレイに見えたとしても別の場所からプラごみやマイクロプラスチックが流れてくる可能性があります。もしかしたらすでにあって、ただ人の目で確認できないだけかもしれませんしね。
状況は年々深刻化しており、世界や国内でもさまざまな対策が取られるようになりました。
日本でのプラスチック問題は根が深く、突き詰めるとさまざまなところに闇が見え隠れしています。日本におけるプラスチック課題とリサイクルの仕組み、そしてマイクロプラスチックの幅広い原因などを順番に見ていきたいと思います。
またそれらが引き起こすプラスチック問題を、少しでも食い止める対策や心構えなども考えていきましょう!
私もフリーダイバーの端くれ(2024年資格取得)として、今後も世界中の美しい海に潜りたいから、海とプラスチックの問題には特に関心が高めです!
日本のプラスチック対策
世界でのさまざまな対策、そして各企業や団体の取り組みはこちらの記事が興味深いのでぜひ参考にしてください。想像通り、スカンジナビアン諸国やEU諸国はかなり先進的な取り組みがされているのがわかります。
個人的には、チリの水に溶けるプラスチックバッグが興味深いですね!ただ私があえてプラバッグを使う際、防水の目的もあるのでその点ではほかの対策が必要だな、と思いましたが
日本ではどうでしょうか。2020年7月にスーパーやコンビニで無料で配られていたプラスチックバッグが有料化したこと、2022年4月にプラスチック新法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)が施行されたことが記憶に新しいのではないでしょうか。
どれほど会計時やアメニティレベルで事業者が対応したとしても、そこで販売されている食品や日用品の包装を見れば、国内のプラスチック消費率が高いことは想像がつきます。
例えば「配りやすくていい」と喜ばれるお菓子などの個別包装も、そういった利便性の裏側で過剰なプラスチックを必要としています。日本では過剰包装、過剰プラスチックが特に深刻です。
実際、2022年における日本の廃プラスチックの総排出量は823万トン(一般社団法人プラスチック循環利用協会による)にもなると発表されています。またこれは世界でもトップクラスのプラごみ大国と言えます。
日本の廃プラ・リサイクルの仕組み
自治体にもよりますが、日本は比較的ごみの分別をしっかりしている国だと思いますし、事実、プラの分別回収率とリサイクル率84%も世界でもトップクラスなのです!
これを読まれているあなたも、きっとプラスチックごみはまとめてその回収日にわざわざ回収場所に持って行っているのではないでしょうか。決められたことはやる、この日本人にとって当たり前に思われることも世界を見渡せばできていることがすごい、と思うほど(10年以上海外暮らしの私)!笑
ただ日本でのプラスチックリサイクルは、世界基準からずれていると言われているのです。地球環境にアンテナを張っている方ならすでにご存じかもしれませんね。
それはそのリサイクルの仕組みに違いがあります。完結にお伝えすると分別回収されたプラスチックごみの7割を「燃やして」いるからです。
リサイクルとは回収したものを資源の状態に戻し再度利用すること。でも日本のプラごみリサイクルは、燃やした熱量を別のエネルギーとして使用する熱量リサイクル=サーマルリサイクルなのです。
リサイクルにはマテリアル(物からものへ)、ケミカル(分子分解してからプラ素材へ)、サーマル(ごみ発電)の3つのリサイクルがあり、日本のプラリサイクルはサーマルリサイクルという事実。もちろんごみから作られた熱源を活用しているのだから、ある意味では循環です。
ただ、特に意識の高いEU諸国などから見ると「それはリサイクルではない」とされています。
とはいえ、サーマルリサイクルにもメリットがあるので、下記に挙げておきます。
・完全分別ができない廃棄物を焼却し、熱源として発電や温水などに活用できる
・石油などの化石燃料を使った発電と比べて、CO2の排出を抑制できる
・ケミカルリサイクルに比べ、低コストで廃棄物を処理できる
・現在の技術では再資源化が難しい廃棄物を有効利用できるサーマルリサイクルとは|問題点とサステナビリティを考察|DNP より引用
マイクロプラスチックはどう生まれるか
マイクロプラスチックとは直径 5 mm 以下のプラスチック粒子または、プラスチック断片と定義されています。通常のプラスチックはもちろん、このほとんど目で認識できないサイズのものが年々深刻な問題となっているのです。プラは自然分解されることのない素材のため、半永久的に海を漂うことになります。
プラスチック製品を長いあいだ持っていると、劣化してボロボロになった、という経験はありませんか。プラスチックというのはそのように、小さく分裂していきますが、自然に還ることはありません。
またビニール袋を食べてしまった海洋生物の写真を目にしたこともあるのではないでしょうか。これらは目に見えるプラの影響ですが、目に見えないマイクロプラスチックは私たちが日常的に食する魚や貝などに取り込まれている可能性が十分考えられます。海の中の動物だけでなく、海の中の生物を食べる私たちにも影響するということ。
認識できないからこそ、危機感を感じてしまいますね。
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気になるのは、マイクロプラスチックがどのように発生しているのか、ということ。
日本ではプラスチックの分別もしているし、道端にごみが廃棄されることも世界レベルで見るととても少ない衛生的な国であるにもかかわらず、マイクロプラスチック問題は決して他人事ではありません。
実はマイクロプラスチックは、私たちが認識するレベルを超えた場所や要因で、海に流れ着いているのです。
【マイクロプラスチックの原因となるもの:一例】
・プラスチック製品(プラスチックバック、カトラリー、ペットボトルなど)
・合成繊維を含む製品(衣類、ティーバッグ、マスクなど)
・マイクロビーズ・合成ポリマーを含む製品(柔軟剤、化粧品、生理用品など)
・食塩
ごみとして分別されなかったプラスチックは、劣化して風に吹かれて海にたどり着くとされています。これがマイクロプラスチックが生まれる理由のひとつ。
ほかにも驚くことに、合成繊維の衣服を着ているだけでプラスチックを空中に放出するという、最新研の究結果も出ています。また柔軟剤や化粧品などに含まれるマイクロビーズ、香料入りのマイクロカプセル、合成ポリマーといったプラスチック粒子も下水道をすり抜け海へたどり着きます。
目をそむけたくような情報が続きますが、でも実際に今は「何も意識せずに生きているだけで、地球の破壊や問題に加担してしまう社会」と言えそう。
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国内のプラスチックリサイクルとマイクロプラスチック問題を掘り下げました。
恐ろしい、ともし感じたならそれはきっと正常な反応です。知らないと行動は変わりません。私も学ぶほど、正しく恐れてできることからですが選択や行動を変えています。
衝撃だったのは、バリのアメッドでフリーダイビングコースを受けたときのこと。
雨季だったことも影響していたそうですが、水中で顔に覆いかぶさってくるほど数え切れないほどのプラスチックごみを目の当たりにしたこと。それまでももちろんごみ問題に関心は多少ある方でしたが、心からの危機感を持ったのはあのときだと思います。
そもそも合成繊維やプラスチック粒子に囲まれた暮らしは、私たちの健康をも脅かします。であれば、毎日の選択ひとつずつ、まずは自分や大切な家族のために変えていくことからはじめてみませんか。
日常が変わればきっと、より大きな世界にも目が向くようになるはずです!
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