一日を始める目覚めの一杯のコーヒー。
3時のおやつにスイーツと一杯のコーヒー。
コーヒーのあるひとときは、暮らしを豊かに彩ってくれます。
そこで質問、コーヒーが作られる過程を考えたことがありますか。その一杯のコーヒーが、目の前に届けられるまでのプロセスに想いを馳せてみませんか。
キーワードは「フェアトレード」。
最近、日本でも浸透してきたSDGsとの関連も深いため、聞いたことくらいはあるのではないでしょうか。
一般社団法人日本フェアトレード・フォーラムが全国の 1,108 人を対象に行った意識調査(2019年度)によると、フェアトレードの言葉を知っている人は53.8%。その意味まで理解している人は全体の 32. 8%と3年前の29.3%より上昇していることがわかっています。
少しずつ浸透してきているのは素晴らしいことですね!
美味しいコーヒーを純粋に楽しむためにも、今回はその意味を掘り下げてお伝えします。
✓フェアトレードが必要な理由
✓フェアトレードな食品
✓フェアなトレードのために消費者ができること
フェアトレードとフェアではないトレード
Fair tradeとは日本語で「公正な貿易」のこと。
貿易とはそもそも、貿易を行う国同士がフェアな取り引きをすることが前提なのですが、「フェアであること」が守られていないトレードが問題となっています。
例えばコーヒーであれば、栽培に適した環境はコーヒーベルトと呼ばれる赤道の近くであるため、コーヒーの生産国はいわゆる開発途上国といわれる国々がほとんど。
問題は、それらの国で作られたコーヒー豆の買い取り価格を作り手が決めるのではなく、生産現場とは遠く離れた国際市場で決められているということ。
そのため、買い手は安価でコーヒーを得るのに対し、作り手である生産国では正当な利益さえ得られないという現状があるのです。生産国では低賃金など過酷な労働環境で働いても貧しいまま、豊かになれない取引を続けることになってしまいます。
「フェアトレード」とは、この不公正・不平等な現実を改善するための貿易のあり方のこと。つまり発展途上国で作られた農作物や製品を適正な対価で、さらに継続的に取引することで、生産者の生活を支えることを指します。
フェアトレード認証とは
生産者や労働者の働きに対してフェアなやり取りがされ、人権や環境に配慮した、国際フェアトレード基準が守られている商品には認証ラベルが付けられます。
国際フェアトレード基準は国際フェアトレード機構によって、小規模生産者や労働者のサステナブルな開発を目指して定められています。
生産コストをまかない、かつ「経済的」「社会的」「環境的」に持続可能な生産と生活を支える「フェアトレード最低価格」、そして生産地域の社会発展のための資金「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」を生産者に保証している点が、最大の特徴です。
今まで無意識に選んでいたコーヒーをフェアトレード認証のついたものにする。
小さなアクションですが、積み重ねることで生産者の生活向上や継続的な生産、そして品質向上が見込まれます。結果、サステナブルな社会の実現につながるのですね。
認証システムの妄信は不要
オーガニック認証JASなど認証団体全般においていえることですが、「認証」するだけで利益を得ているライセンスビジネスではないかという懸念があるのも事実。
実際に国内オーガニック認定「JAS」の場合は、認証基準自体も世界基準のオーガニックに比べて緩く、認証価格も高額のため、心を込めて丁寧に農薬を使わず栽培している農家さんでも「JAS」認定を受けず販売している例も多いのです。
私はなるべく作り手さんの言葉をリサーチし(職業病ですね、はい。汗)、その意図を汲み取り信頼できるならマークがなくても購入します。
でも簡単に見分けたい消費者には「JAS」マークはとても便利なのです。
ですから確かな安心感やわかりやすさのために、もちろん認証団体の認証は助けになりますが、それ以外がすべてOUT(アウト)というわけでもない、ということ。
マークのありなしだけを妄信せず、自分の見極める力を養いたい、と思うのです。
フェアトレード認証のある食品
フェアトレード認証のある食品は、コーヒーに留まりません。
私たちがスーパーマーケットで年中よく目にする商品では、紅茶、バナナ、チョコレートなど。ほかにもりんご、アボカド、ナッツ、砂糖、大豆、砂糖、米、ドライフルーツなどがあります。
食べ物以外の、フェアトレードの対象はコットン、花(バラ・カーネーション)、木材や金などがあります。
フェアトレードは途上国支援ではない?
フェアトレードは生産国の多くが発展途上国のため、「経済的な格差が大きい国々を支援するもの」と捉えている人も多いかもしれませんが、実はフェアトレードは支援やチャリティとはまったくの別物です。
フェアトレードでは、途上国の作り手と買い手はあくまでフェア(対等・平等)であることが大前提。よいものを作る生産者に正当な対価を払う。
逆に言うと、なぜそれが今までできていなかったのかという疑問が湧きます。先進国では一般的な認識ですよね。
それまで対価がしっかりと支払われていなかった生産者は、農薬を大量に使うなど品質は二の次のもの作りになっていた傾向があります。それは買い手である消費者を含め、誰もハッピーにはなりませんよね。
消費者はフェアトレード認証ラベルのついた製品を選ぶことにより、普段の買い物を通じて国際社会に貢献できるようになっています。チャリティではなくあくまでビジネスのなかで行うからこそ、持続可能な社会づくりにつながるのです。
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フェアトレードについて紹介しました。
豊かな毎日に欠かせないコーヒー。でもその製造過程や生産者さんが、豊かどころか消耗して作ってくれていたのだとしたら…。
ちょっと想いを馳せてみるだけで、大切なことが見えてくる気がします。
消費者である私たちがまずできることは、国際フェアトレード認証のついたコーヒー豆を買うこと、そしてそういうコーヒーを提供しているカフェを利用すること。
そうすると一杯のカフェ時間が、もっと気持ちのいいものになるような気がするのです。
【参照サイト】フェアトレードジャパン
【参照サイト】「フェアトレード」の認知率 32.8%に上昇
【参照サイト】国際フェアトレード基準
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