自然に寄り添う暮らしを営むようになると「オーガニック」が、もの選びの軸のひとつになります。
「ORGANIC MIND/オーガニックマインド」ではまず食品、それも調味料をおすすめしていますが、肌に触れる衣類や寝具などもできれば人や環境に優しい製品を選びたいですよね。
ですがコットンは、見た目で判断するのは難しいもの。とはいえ肌触りだけでもわかりません。ではどのように選べばいいのでしょうか。
今回はオーガニックコットンとはどういうものなのか、そしてその見極めのポイントや選ぶ理由についてお伝えします。
✓コットン栽培の背景や課題
✓認証システム「GOTS」とは
✓オーガニックコットンを選ぶ理由
オーガニックコットンとは
オーガニックコットンとは有機栽培されたコットンのこと。
有機栽培とは有機農業推進法により、下記のように定義されています。
◆遺伝子組み換え技術を利用しない
◆農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する
有機農業において重要視されているのが「土壌作り」です。
例えば、世界各国で設けられているオーガニックの認証基準では、国の事情などにより違いがありますが、日本の認証機関JASでは「は種又は植付け前2年以上化学肥料や化学合成農薬を使用しない」とあります。
この期間は平均的に2~3年と多少違いがありますが、作物が育つ田畑の土壌を健全に整えるためには、準備期間が必要だということを理解しておきましょう。例えば土壌に残った化学肥料の影響による地下水の汚染、土壌微生物の消滅などにより、作物を育てる土壌の力が減少するのです。そのため有機栽培に取り組み始めてから、オーガニックと名乗れるまでの数年間を目安としています。
オーガニックコットンの場合は人や環境への安全性だけでなく、これらを踏まえた上で、労働者の安全や健康・児童労働に関する規約も含まれているのが特徴です。
従来のコットン栽培がもたらす課題
コットンと聞くと、通常のものであっても「天然素材で肌に優しい」というイメージを持たれがち。ですが実は、コットンとオーガニックコットンのあいだには大きな違いがあるのです。
生産農家の健康被害
オーガニックコットンと従来のコットン、大きな違いのひとつが栽培方法です。
オーガニックコットンが有機栽培(上記参照)であるのに比べ、従来のコットンは合成農薬や除草剤、脱脂剤、肥料、GMO種子などを使って栽培されます。
綿花は、比較的害虫に弱いという特徴があるため、栽培時には特に農薬を使います。
農薬は確かに害虫には効果がありますが、劇薬のためそれらを扱う農家さんに影響がでることは容易に想像がつきます。国ごとに厳しい規制が設けられているものの、それでもやはり健康被害は避けられないようです。
症状としてはめまいや倦怠感、吐き気、口内の麻痺などがあります。
さらにアメリカの環境保護庁(EPA)によると、綿花栽培に使用されている農薬において10種類の農薬について発がん性の疑いがあることが認められています。
コットン栽培と人権問題
コットン栽培が行われているコットンベルト(栽培地が集まる場所)は、開発途上国と呼ばれる国々が多く、過酷な労働環境や児童労働が深刻な問題になっています。
子どもたちは、学校に行く間もなく働いてもその働きに見合った、正当な対価をもらえていないのが現状です。
第三者認証「GOTS」とは
オーガニックコットンは、素人が手に取ってもその違いを見分けるのは難しいもの。
そこで誰にとってもわかりやすく参考になるのが、第三者による認証制度なのです。
オーガニックコットンでは「GOTS認証」が繊維製品を製造加工するための国際基準となっており、オーガニック・テキスタイルの世界基準です。
認証を受けたものは、原料の栽培・収穫から製造工程、ラベリングにいたるまで、どのプロセスも環境に配慮した社会的責任のある方法で作られたものである証なのです。
その一例として、原料の70%がオーガニックであること、製品の追跡可能性(トレーサビリティ)が確保されていること、動物実験をしていないことなどが含まれます。
オーガニックコットンを選ぶ理由
「money voting」とはエシカル消費を表現する際に、たびたび用いられる言葉ですが、オーガニックコットンを選ぶ理由もそのひとつに。
日本国内のオーガニック市場はまだまだ小さいのが現状ですが、だからこそ、「オーガニック製」を選ぶことが「人と環境に配慮した社会を選ぶ」ことにつながります。市場が拡大するほど、生産者は持続可能な生産活動ができることにもなります。
またオーガニックコットンを選ぶことで、今まで見えないところで起きていた児童労働や過酷な労働環境が少しでも減ること、そして環境負荷を減らすことをサポートすることになるのです。
もちろん肌触りのよさや、丈夫で使い勝手がいいことなどもオーガニックコットン製品を選ぶ理由になるはず!
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オーガニックコットンについて、そして認証システム「GOTS」について紹介しました。
最近ではファストファッションのH&Mや無印良品でも、オーガニックコットンの衣類を購入することができます。ただオーガニックコットンを使った製品であっても、その品質はさまざま。販売店や生産者さんのサイトでコンセプトなどを読むことで、作り手さんの想いを理解することにつながります。
もちろん「GOTS」もその目安のひとつとして活用してくださいね。
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